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「賢斗に何か作ってあげようかと思ってさ。
相変わらずほっそい身体して、どうせ碌に食べてないんでしょ?」
「君に俺の食生活について何か言われる覚えは無いよ。
それに一度でも俺が君が作ったものを食べた事があったかい?」
いつもの賢斗にしては珍しく笑顔を浮かべていない。
彼が笑顔を浮かべたところで、真希が喜ぶだけだと賢斗は熟知している。
「そういえば無いな。
酷いじゃないか賢斗!いつも僕なりに頑張ってるのに!」
「君の頑張りなんか知った事じゃないし、興味も無いよ。
もう一つ言わせてもらえば、人間が作ったものを食べるなんて冗談じゃない」
「良いじゃん別に!
僕は賢斗の笑顔が見たいだけなんだよ!」
「変わらないねぇ、君も」
賢斗はやれやれ、とため息をついた。
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