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「冗談はその存在だけにしてくれよ、真希」

「…さすがに酷くない?」

これ以上真希の相手をする気にならなかった賢斗はデスクの上に散らばる何枚かの書類を眺める。

その中には依頼人の翼や美里に関するデータは勿論、玲子の履歴書のコピーさえも混じっていた。

「毎回毎回よくこんなに個人情報集められるね」

「復讐相手の個人情報は簡単に手に入るものさ。
依頼人が教えてくれるからねぇ」

赤い瞳に僅かに愉悦を滲ませて賢斗は言った。
血の様に赤い、その深い緋色を真希は美しいと思った。

真希には何故皆があんなにも賢斗の瞳を恐れるのかが分からなかった。
賢斗に言わせれば、「それは君の価値観にすぎない」のだけれど。

ふと真希はその書類の中に気になる一枚を見つけた。

「結城隼人…?
彼は?確か依頼人の話には出てこなかったはずだよね?」

「あぁ、彼は…」

ちらりと真希が持っている書類に目を向けた賢斗は素っ気なく言い放った。

「駒の一つ、かな?」







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