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美里と会った後事務所へと帰った薙、もとい賢斗は当然のように部屋に居座る人物を見てうんざりしたようにため息を吐いた。

「あ、おかえりー賢斗」

「今度は何しに来たんだい?」

「んーこれと言った用は無いよ?
近くに寄ったから来ただけー」

真希が賢斗の留守に部屋に侵入するのはいつもの事である。
大方、またピッキングでもしたのだろう。

元々賢斗が使っている一室以外は誰も居ない古い廃ビルだ。
その気になれば侵入など容易い。

最も、赤い瞳の悪魔が住んでいると影で噂されるこの場所に進んで立ち入る者などそうそう居ないのだけれど。

「それはまたベタな理由だねぇ…
まぁどうでもいいけど用が無いなら帰ってくれるかな?」

「相変わらず冷たいなぁ。
それが友達に言う言葉ー?」

真希が笑いながらさらりと言った言葉に、賢斗はピクリと眉を動かした。

「…誰と誰が友達だって?」

「僕と賢斗」

極上の笑顔でそう告げる真希に賢斗は頭痛すら覚えた

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