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しばらくそのまま呆然としていたがハッと我に返ると慌てて立ち上がり、家の中へと入る。

家に入る前、もう一度視線を感じた気がして振り返るが、そこにはただ闇が広がるばかりであった。

翌日、美里は隼人に会う事は無かった。
さすがに三日連続で遭遇出来るなどとは思っていなかったが、隼人の「また、会えると良いですね」という言葉に期待していた自分が居たのもまた事実だった。

そんな自分に苦笑したのもつかの間、通っている塾から帰宅した美里は家の前で凍りついた。

辺りの闇に同化するかのように美里の家の前に佇む人影。
それは紛れもなく昨日会ったあの不気味な青年の姿だった。

彼は美里の家の少し上方、何も無い虚空を見つめていた。
そこに何か、いや、誰かがいるかのように。

「君は神って信じるかい?」

彼は口の端を僅かに上げて笑いながら振り返り、美里が居るのをずっと前から気づいていたかのようにそう言った。

相変わらず左目は黒い眼帯で覆われていて、笑顔を浮かべているはずなのにその表情は温度を感じさせない。

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