6

口元には微笑が浮かんでいるが、露わになっている黒い右目は、深い憎悪を滲ませて美里を射抜く。

顔立ちが整っている為、余計に人間離れして見える。
彼は美里と目が合うと、その目をスッと細めて笑った。

美里は金縛りにあったかのように、身動き出来なかった。
一歩でも動けば、彼に殺されるような気さえした。

何かを言おうと口を開いた彼はしかし何も言う事なく、もう一度ゆるりと笑うとそのまま踵を返して去っていった。

彼の姿が完全に見えなくなると、美里はその場に座り込んだ。
彼は何者だったのか、気になると同時に知りたくないとも思った。

関わってはいけない人だ、絶対に。
そんな予感めいたものが美里の中にあった。

[ 41/75 ]

[*prev][目次][next#]

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -