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夜、プリントのコピーをしようとコンビニに向かう美里は、誰かの視線を感じて振り返った。
しかし、そこには闇が広がるばかりで何も無い。
その時は気のせいか、とそれだけだったが帰り道にまた視線を感じ
、さらには足音も聞こえた為、美里は怖くなった。
早く帰らなければ、と足を速めるが後ろの人物が遠ざかる気配は無い。
美里は速度を上げているはずなのに、静かに、ゆっくりと美里を追いかけてくる。
ーーカツン、カツン
後ろの足音が段々と近づいてくるような気がして、美里は走った。
ようやく家の前に着き、恐る恐る後ろを振り返りーーゾッとした。
家のすぐ近くにある街灯の下に、一人の青年が立っていたからだ。
闇に溶け込むかのように漆黒を纏った彼は、どこか人間離れした雰囲気を持っていた。
やや長めの黒髪、ブカブカの黒パーカーに、黒いズボン。
そして彼は何故か左目に黒い眼帯をつけていた。
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