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どこか人を惹きつける雰囲気を持つ人だ、と美里は思った。
「あの...?」
返答が無い美里を心配したのか、彼は美里の顔を覗き込む様に窺った。
彼の端正な顔が近くに迫ったので思わず美里は顔を赤らめた。
「大丈夫ですか?」
「あ、はい!大丈夫です!
すみません!!」
「立てますか?」
「は、はい...」
美里は恐る恐る差し伸べられていた彼の手を掴んだ。
ひんやりと、冷たい手だった。
立ち上がった美里は青年にペコ、と一礼した。
「本当にすみませんでした!」
「いえ、そんな気にしないで下さい。
僕の方こそすみません。怪我はありませんか?」
「は...はい!」
コクコクと頷き、改めて美里は目の前の青年を見てみる。
茶色の髪に、少しこげ茶の瞳。
白い肌に、整った中性的な顔立ち。
着ている白いワイシャツがよく似合う、文句なしの美青年だった。
「あの...何か?」
見られている事に気づいた青年が、少し困ったような顔をして美里を見る。
「え、あ、すみませんでした!」
ハッと我に返ると、急に恥ずかしくなり美里はもう一度彼に頭を下げると、慌ててその場を後にした。
家に帰り、ベッドに美里はベッドにダイブした。
母の玲子は仕事があるのでまだ帰っていない
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