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真希が去った後、賢斗はふと昔の真希とのやりとりを思い出した。

あれは、いつだっただろうか。
多分まだ賢斗が学生で、本格的に復讐屋をやって居なかった時だ。
真希の事を女の子みたいな名前だ、と言って笑った賢斗に、彼はこう言った。

『それで賢斗が笑ってくれるなら、僕はどんな名前だって構わないよ。
でも、名前に関しては君も珍しいよね。終夜ー君の場合はよすがらと読むけど、どちらにしても珍しい。それに終夜は夜が終わる、夜明けという意味なのに、君は夜明けどころかまるで闇そのものじゃないか』

『そうだねぇ、終夜という言葉をそのまま解釈したらそうなるかもしれない。でも俺は自分の名前の意味が夜明けだとは思わないよ』

『え?じゃあ賢斗はどう思ってるのさ?』

『それを君に教える必要も義理も無いよ、朝日屋真希。
ただ言葉というものはいくらでも解釈の仕方がある。君は俺の名前の意味を夜明けだと解釈し、俺は別の意味で解釈した。それだけの話さ。
それから、残念ながら俺は闇なんて大層なものじゃない。
ただの人間さ、不本意な事にね』

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