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「じゃあ今度こそ帰るよ。
まだ暫くは日本にいるからまた来るねー!今度は歓迎してよ?」
「依頼人として来たら歓迎するよ。
あぁ、そうだ、真希」
帰りかけた真希を賢斗は呼び止めた。
珍しい、と思って真希が振り返ると賢斗は真希を見る事なく告げた。
「さっきも言った通り、俺は人間の次に仕事の邪魔をされるのが嫌いだ。
君が人間の笑顔を見たいと思うのは勝手だけど、余計な気は起こさない方が良い。
−−死にたく無かったらね」
多分、脅しでも何でも無いのだろう。
賢斗は事実を言っているだけだ。
現に真希は賢斗の邪魔をして消えた人間を何人か知っている。
見透かされてるか、と真希は苦笑して頷いた。
「分かってるよ、賢斗。
僕もまだ死にたく無いからね、君の邪魔はしない」
「そう、別に仮に君が邪魔をしても人間が一人減るだけど、俺は殺し屋じゃないからねぇ」
恐ろしい言葉をさらりと言う賢斗にもう一度苦笑して、真希は今度こそ去って行った。
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