3
「あぁ、是非とも帰って欲しいねぇ。
知っての通り仕事があるし、何より俺は君が嫌いだ。
だから今すぐ俺の目の前から消えて、そのまま帰って来なくていいよ」
「酷いなぁ。
何でそんなに機嫌悪いのさ?」
「君が居るからだよ」
即答だった。
どうやら今は本当に機嫌が悪いらしい。
口調や表情はいつもと変わらないが、全体的に不機嫌な空気を放っていた。
何故だろう、と暫し真希は翼と賢斗のやりとりを思い出し、あ、と声をあげた。
「もしかして、賢斗、あの子を見て昔の事でも思い出しーー」
言いかけた真希の頬をヒュッと何かが横切り、後ろの壁に突き刺さった。
真希の頬から一滴の血が流れ落ちる。
恐る恐る振り返ると、真希の後ろにあるボードに刺さっているダーツの本数が、一本増えていた。
[ 28/75 ]
[*prev][目次][next#]