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「ばれてないと思ったんだけどなぁ...
ね、いつから気づいてた?」
「どこから来るんだい、その自信は。
そうだねぇ、真崎翼が来て暫く経ってから君がこっそり戻ってきた時くらいからは気づいてたよ」
賢斗のその返答に、真希は目を丸くした。
純粋に驚いた時の顔だ。
どうやら本当に気づかれていないと思っていたらしい。
事務所には、玄関に通じる扉が二つある。
真希はその片方の扉がある納戸に隠れていたのだ。
「それって最初からじゃないか!」
「俺としては気づかれないと思っていた方が驚きなんだけどねぇ。
それで、何でわざわざ戻ってきたりしたんだい?用があるならさっさと済ませて帰ってくれ。用が無いなら今すぐ帰ってくれ」
「そんなに僕に早く帰って欲しいの?」
真希は思わず苦笑しながら賢斗を見た。
本当に自分の前だと笑ってくれない、と不満を抱きながら。
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