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服の袖から覗く痛々しい痣。
それを口元に微笑を浮かべたまま賢斗は、嫌悪と憎悪と蔑みを込めた目で見る。

「そうよ、珍しい?」

「そうだね、ある意味珍しい」

翼の目は見ないで賢斗は口の端を歪めて言った。
賢斗の目の奥で、暗く、妖しい炎がちらちらと揺れる。

「...ある意味ってどういうこと?」

「そうだねぇ、簡単に言えば、ここまでぬるい虐待は珍しいって事さ。
別に虐待自体は珍しくも何ともない。職業柄、そういう境遇の人には掃いて捨てるほど程会ってきたからねぇ。
君は幸運だよ、そんな痣程度で済んで」

クスリ、と賢斗は笑う。

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