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家事は全て翼に任せ、少しでも気に入らない事があればすぐ翼に手を上げた。

『何やってんのよ、このグズ!』

『ほんっと、使えない。
いっそ死んでくれない?』

そう言われる事も珍しく無い。
それでも翼は耐えた。

自分と同じように父を失って悲しいのだ、と言い聞かせて。

だけど、それは翼の思い込みだった。
ある日、翼は聞いてしまった。
玲子と美里が深夜、二人で話しているのを。

「お母さん?まだ起きてたの?
最近あんまり寝てないんじゃない?」

喉が乾いて起きた翼はそんな美里の声が聞こえて扉を開けようとした手を止めた。

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