3

予定より帰宅時間が少し遅くなり、翼は慌てて帰った。

いや、帰るはずだったのだ。
自分の家が、燃えているのを見るまでは。

自分の家だと思われる場所は人だかりが出来ていて、消防士達が何かを口々に叫んでいたが翼には何も聞こえなかった。
ただ夢中で燃え盛る家へと走り出した。

「玲子さん!美里ちゃん!お父さん

途中で消防士に止められても必死で叫んだ。
もしかしたら、皆が中に居るかもしれない。
そう思うと走り出さずにはいられなかった。

「君、危ないから下がりなさい!」

「離して!」

「翼ちゃん!?」

消防士を振り切ろうと藻掻く翼の後ろで驚いた声がかかる。

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