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翼は警戒しながら奥へと進む。
漆黒のデスクと椅子。
そこに座ってこちらを見る、黒と赤のオッドアイ。
彼は笑顔を浮かべて言った。
「いらっしゃい、ようこそvengeanceへ」
彼ー賢斗ーは翼を覚えていたようで、翼を見ると一層笑みを深くした。
「やぁ、思ったより早かったね。今回の君に迷いは無いようだけど、念の為聞いておこうか。
ーー覚悟はあるかい?」
笑顔のまま賢斗が問うた質問の重さは、よく分かっているつもりだ。
半端な覚悟では、賢斗に聞いた学生と同じ運命を辿るだけだ、と。
これから先、進めばもう後戻りは出来ないと知りつつ翼は...頷いた。
「今回は、逃げない。
あなたに復讐を、お願いするわ」
そう、キッパリと言い切った。
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