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一度彼に頼んだら最後、魂を取られてしまうような...そんな悪魔のような空気をあの青年は持っていた。
だからこそ、翼は何も依頼せずに帰った。
翼はもう二度と来るつもりは無かったが、賢斗はまるで翼がまた来るのを確信しているかのように言った。
『憎しみの炎は中々消えぬもの。今はまだその時ではありませんがお客様の炎が限界に達した時、またご来店下さい。
ーー俺はいつでも、ここにいるからさ』
そう、翼が再びここに来たという事は彼女の炎が限界に達したという事だ。
決意に満ちた顔で扉を開く。
以前に来た時と同じ、闇が広がる空間。
そこに居るだけで、訳もなく不安になるような場所だ。
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