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カナは要が好きだった。
しかし、要は悠希が好きだった。
カナは、悠希を妬んだのだ。

まずカナは悠希の目の前でカッターを取り出し、自分の腕を斬り付け、悲鳴を上げた。

たちまち人が集まり、皆カナの嘘泣きと「悠希が突然襲ってきた」という証言を信じ、悠希を責めた。

何もしていないと叫ぶ悠希を信じてはくれなかった。
何よりも辛かったのは、要や遼さえも悠希を信じてくれなかった事だ。

呆れるくらい簡単に友情は壊れてしまった。
その程度だったのか、と思える程に。

それでもたった1人だけ、悠希を信じてくれた人がいた。
悠希のクラスメイトであり、同じバスケ部の九条詩音だ。

詩音はクラス内で起こる悠希へのイジメをやめさせようと尽力してくれた。
いつも悠希のそばに居て、クラスメイトに悠希は何もしていないと訴え続けてくれた。

詩音は悠希のたった1人の味方だった。


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