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「言ったじゃないか、君は多くの人間の人生を歪ませる事になるって。
この事態を予測しなかったなんて言わないでくれよ?」
一旦言葉を切り、賢斗は少しだけ目を伏せた。
前髪が影を作り、その表情は見えない。
「でもまぁ、良いじゃないか。
彼らが死にたいって思ったんだからその意志を尊重してあげようよ」
再び顔を上げ、ニコ、と笑って賢斗は悠希を見つめた。
赤い左目が妖しく光り、黒い右目は全てを飲み込む闇のように暗い輝きを放つ。
「覚悟があるんじゃあ、無かったのかい?」
その言葉が止めとなって、堪らず悠希は部屋を飛び出した。
自分が招いた惨劇から、過去から、何より、終夜賢斗という人物から逃げるように。
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