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漆黒に包まれた部屋に静かに響く歌声。
その声の持ち主、終夜賢斗はいつものように本心の見えない笑顔を浮かべ、パソコンを弄りながらこれから来るであろう人物を待っていた。
「ーーA pitiable clown give a scornful laugh.
“How dare you call me a liar?」
(ーー哀れな道化師は嗤う。
「よくも僕を嘘つきと言えるね?」)
「A pitiable clown told the truth.
But nobody belive him.」
(哀れな道化師は真実を語った。
しかし、誰一人として彼を信じなかった。)
「A pitiable clown narrate the story called falseーー」
(哀れな道化師は語る。
嘘と呼ばれた物語をーー)
賢斗の口から流暢な英語で語られる物語は、ただの物語か、それともーー
バタン!と喧しい音を立てながら事務所の扉が開く。
その音を聞くと、賢斗は笑みを深くした。
「さぁ、そろそろ幕引きといこうか!」
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