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「あーぁ、本当に落ちちゃった。でも、二人減ったくらいじゃ人間の数って大して変わらないよねぇ。
ホント、さっさと消えてくれないかな」
最後の方は笑顔を消し、仮面のような無表情で吐き捨てた。
「まぁでも、血の色は嫌いじゃないよ。
人間から出るのが勿体無いくらい、綺麗な緋色だし、ね...」
誰に言うわけでもなく呟くと、賢斗は再び笑顔を浮かべ、闇に溶けるように姿を消した。
楽しそうに、唄を口ずさみながら。
「ーHumpty Dumpty sat on a wall
Humpty Dumpty had a great fall
All the king’s horses and all the king’s men couldn’t put Humpty Dumpty againーー」
唄の間に、笑い声を混ぜながら。
それから数時間、朝日が昇り、暫くした頃、この場所には悲鳴が響き渡った。
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