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そして放課後、全ての準備を終えた賢斗は資料室へと向かう。
「荊君、来てくれたんだ」
カナがいつもの猫かぶりをしているのを見て、賢斗は不快そうに眉を潜める。
「わざわざキャラ作らなくていいから手短にお願いするよ」
するとたちまちカナの顔は醜く歪む。
「あんた何がしたいのよ!?」
「言ったでしょ、俺は真実を伝えに来たんだよ」
「はっ、誰があんたなんか信じるもんですか!」
「そうだねぇ、生憎彼らは君を信じて止まないみたいだし、困ったなぁ」
とさして困った様子も無く賢斗は言った。
「しっかし君を馬鹿だよねぇ」
「馬鹿ですって!?」
「君は凄く頭の悪いことをしてるってことさ。
しかもそれを自覚できてないなんて...無知とは恐ろしいものだねぇ...」
「あんた本当何なのよ!
あームカつく。絶対許さないから!」
「許して貰わなきゃいけない事なんて無いはずだけど?」
それに、別に許してなんて頼んだ覚えもない、と思う賢斗をよそにカナはいつかのようにカッターを取り出した
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