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その後は何事も無く、賢斗は事務所に帰る。
真っ直ぐにデスクへと向かうとノートパソコンを立ち上げる。
カタカタとキーボードを叩き、園原カナを検索する。

「へぇ…
園原財閥のお嬢さんか。
こりゃ確かに学校内のイジメなんて揉み消されるよねぇ」

パソコンを弄る手は止めずに独り言を続ける。

「ま、警察に突き出す事は依頼に含まれてないし、いっか」

少し肩をすくめるとコンタクトを外し、そっと左目をなぞる。

血のように赤い目。
赤い目の子は禍いの子らしい。

「確かに禍いの子だよねぇ…」

誰に言うわけでも無く言うと、妖しく微笑む。

「今回はそんなに時間かかんないなぁ…簡単な依頼だしね…
あぁつまらない…
またすぐ暇になっちゃうよ?」

首をコキコキと鳴らす。

「ま、直に終わるかなっと」

パタン、とノートパソコンを閉じ、復讐劇の舞台を整える為、再び事務所を後にした。


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