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「おい神無月!
なんでカナを襲った!」
遼が一歩賢斗に詰め寄る。
「…俺が?
冗談止めてよ、なんで俺がそいつ襲わなきゃなんないのさ」
「てめえ本気で言ってんのか?」
「本気だけど?」
要が賢斗に殴りかかるが賢斗はその拳を易々と受け止め、要に足払いをかける。
背中を強く打ち付けた要は激しく咳き込む。
「駄目だよ、俺、『退院したばかり』なんだから。
病人には優しくしなきゃ」
クスクスとさも可笑しそうに笑って2-Cのメンバーを見渡す。
「あぁ、駄目だね、せっかく学校来たのにこんなんじゃあ楽しめないじゃないか」
「神無月…お前何なんだよ…」
笑い続ける賢斗を訝しげに遼は見る。
「え?俺?
自己紹介したじゃん?
俺は神無月荊だよ」
そう言ってまた賢斗は笑う。
「そうだねぇ…
強いて言うなら君達に真実を伝えに来たんだよ」
「真実…?」
「分かるよねぇ園原さん?」
全く目が笑っていない笑顔で賢斗はカナを見る。
「し…知らない…っ」
「へぇ…まぁ君なんてどうでもいいし、興味も無い。
俺を苦しめる?笑わせないでよ。『俺』が『君』を苦しめるんだよ」
終始笑顔で賢斗は言うと手をヒラヒラと振って屋上を去った。
「ここからが本番だよ?」
コンタクトをはめているはずの左目が赤く光った――
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