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悠希が居なくなり、静かになった部屋で賢斗は笑いだす。

「ハハッ…ハハハッ…アハハハハッ!!
覚悟の上だ、か。
良いねぇ、せっかくの依頼だ、その覚悟がどれ程のものか見せてもらおうじゃないか!
あぁ楽しみだ!!」

ひとしきり笑うと賢斗は早速仕事の準備に取り掛かる。
漆黒に染まっている部屋で、賢斗の赤い左目が妖しく光る。


「でも…気をつけないとすぐ呑み込まれちゃうよ?
呑み込まれたら後は堕ちていくだけさ。俺みたいに、ね…」








赤い左目を持つ青年、終夜賢斗が生業としているのは「復讐屋」。

依頼人から依頼され、その人に代わって復讐をする仕事。
たとえ、自分とその人になんの接点も無いとしても。

何故そんな事をするのかは本人以外、知る者はいない。

「俺はね、人間が嫌い、大嫌いだ。憎んでると言っていいかもしれない。
だからね、人間であるというだけで俺にとっては復讐の対象に成り得るんだよ?」

誰にいうわけでもなく呟いた賢斗の言葉は辺りに溶けて消えた――

       







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