5

しばらくトランプを見つめていた悠希は、やがて一枚のカードを指す。

『JOKER』

カードを見て、賢斗は満足そうに笑った。

「ジョーカーか。うん、俺の得意分野だ。
君がクイーンを選ばなくて良かったよ。俺もなるべく手を汚したくないからねぇ…」

意味深な事を呟くと、パン、と手を叩いて賢斗は楽しそうに言った。

「契約成立だ。
それじゃ、君はもう帰っていいよ。
後は俺が適当にやるし、必要があれば俺の方から連絡する」

「どれくらいかかる?」

「うーん…
今回はそう難しい依頼でもないからねぇ。すぐ終わると思うよ?」

「分かった。
じゃあ…頼む」

「はいはーい」

重々しい悠希とは逆に賢斗は軽い調子である。
帰ろうとする悠希を「あ、1つ警告ー」と賢斗が呼び止めた。

「君はこれで晴れて復讐者の仲間入りだ。
実行するのは俺だけど頼んだのは君だって事、忘れないでね。
人を呪わば穴二つ。
復讐者がこれから碌な人生送れると思うなよ。
過去からは逃げられない。君はこれから大勢の人生を歪めることになる」

あくまで笑顔で賢斗は語る。
悠希は一瞬その言葉と笑顔に気圧されるがすぐに強い意志を秘めた目で頷いた。

「……覚悟の上だ」

そして今度こそ悠希は賢斗の元を去った。










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