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「それなのにっ!
あいつらは詩音が勝手に落ちたと抜かして!
園原は金に物を言わせて詩音の死をもみ消したんだ!!」
「なるほどねぇ。
で、君はその親友を殺した園原って子に復讐したいのかい?それともクラスメイト全員に復讐したいのかい?」
賢斗は悠希の話を聞き終えても笑みを浮かべたままだった。
穏やかにも、残虐にも見える笑みを。
悠希は怒りに拳をブルブルと震わせながら絞りだすように言った。
「…全員に!」
「ハハッやっぱりそうか。
うん、で復讐の種類は?」
言われた意味が分からず賢斗を見る。
「ほら、君は裏切りで済んだけど君の友達は殺されちゃった訳だろ?
君が望む復讐は彼らを絶望に突き落とす事?それともその園原って子を殺す事?」
穏やかな口調で、ボールペンをくるくると回し、恐ろしい言葉を吐き出す賢斗。
悠希は我に返ったような顔をするとしばらく考えるように黙り込んだ。
賢斗は突然パチン!と指を鳴らすとどこからかトランプを取り出した。
「こうしよう、この中から一枚好きなカードを選んでくれ。
俺はそのカードに基づいた復讐をしよう」
悠希はしげしげとトランプを見つめた。
ハートのクイーン、スペードのジャック、ダイヤのキング、そして・・・ジョーカー。
「急に選べって言われても難しいかな?
じゃあヒントをあげよう。
スペードは剣を、ダイヤは宝を意味する。ハートのクイーンは赤が好きで、決まり文句は『首を刈れ!』そしてジョーカーは道化師だ」
悠希は訝しげに賢斗を見るが、賢斗は微笑んだまま何も言わなかった。
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