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そしてまた、よくないことが起きた。
ある年、和尚さんがいなくなって3,4年の後、紅花が凶作だった。
お米を作っていないわけではなかったけど、紅花を売って得たお金で買っていたのが多かったから、多くの人が困った。それでも、助け合いで何とかなった。
次の年も、普通の年に比べて取れなかった。
いよいよ困った。
だんだん寺には人が来なくなった。皆自分のことで手一杯だったんだ。
彼女は決意した。
村を出て、奉公に出ようと。お金を稼ごう。本当に少ししか足しにならないだろうけど、と。
何も言わずに彼女は村を出、和尚さんが歩いたであろう道を歩いた。
彼女は町を目指したが、その途中で倒れてしまった。
気がつくとどこかの寺にいたらしい。
そこの和尚もまた良い人だった。
すっかり衰弱し、病気にもなっていた彼女を手厚く保護してくれた。
でも、病はなかなか治らず、季節は巡っていった。
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