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「信念が弱ければ、その関係は壊れやすい。
すぐに多数の他者に呑み込まれる。
でもその信念とそれへの信頼が強ければ、他者を穿つ矛も、自らを守る盾も持てるんだ」

不意に視界が眩しくなって、少年は思わず目を瞑った。

おそるおそる目を開けば、いつの間にか雪はやみ、雲間から光が漏れていた。

積もった雪に反射して、白銀の世界は黄金色へと変化する。

覗いた蒼空と光に包まれた世界の中で、少年はただ嬉しそうに笑った。

微笑みではない、純粋な笑顔。

それは、何度も氷の中で生きようとして、もがいて、誰よりも陽の光を焦がれた花の開花。

「それでも」

光に染められた世界は、陽の光を受け、ゆっくりと大地を覗かせ始める。

「どんな矛を持ったとしても。
人間は……ううん、天から生まれた者は皆、天によって死に、天へと帰る。
そうしてまた、他の生命の礎となる」

融けかかった雪を掬うと、指の間からきらきらと光を映しながら溢れた。

「どんなに汚れたところに生み堕とされても、どんなにくすんだ生き方をしても、死ぬ直前に必ず一度は輝ける。
春は、太陽は、世界のどこにでもあるから」

生命は平等であるのだと。

少年は言って、自らも知らず涙をこぼした。

そして小さく呟いた。

「僕は…」

「僕は輝けたのかな…?
ちゃんと、人間だったかな……、
ねぇ、―――?」

誰かの名前を―――いや、わたしの名前を、誰も聞こえない声で呼んだ。


私と同じ顔をした少年。
残してきてしまった、大事な半身。


「……大丈夫。」

「今の貴方は、貴方の流した涙は、世界中の何よりも誰よりも」

伸ばされた腕をとって、抱きしめる。

「―――綺麗だった」


「さぁ、行きましょう?」


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