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「本っ当、お前寝起き悪いよな」
「でも今日は出てくるの早かったよね、何かあった?」

数十分後、いつもの制服に身を包み、扉の向こうから出てきた青年は彼を迎えに来た黒髪と赤毛の2人の友人と共に目的地へと足を進めていた。
2人の間に挟まれながらも無言を貫く青年を気にした風もなく、赤毛の青年が彼をからかうようにそう言うと、黒髪の青年はフォローを入れながら彼に問いかける。

「……夢」

たった一言だけ短く告げただけだったが、何か分かったのか2人はそっか、と頷いた。

「どんな夢かは知らないけどさ、それで湊が起きてくれるならありがたいよな」
「オレらが起こしに行く必要なくなったりして」
「……別に頼んでない」

優しげな微笑みを浮かべた黒髪の青年の名は、岑地 蓮。
茶化すように言った赤毛の青年は、枇狹・フラム・燿。
そして、その間に挟まれている、先程からぶっきらぼうな返事しかしない栗色の髪をした美青年は、涼月 湊。

彼ら三人は、8歳の頃に出会って、そのまま10年。
18歳になった今でもこうして一緒にいる幼馴染である。

低血圧のせいか、寝起きの悪い湊を燿と蓮が迎えに来るのが毎朝の恒例行事だった。

「またまたそんなつれないこと言ってー!」
「…近い、うざい」
「辛辣!!」

相手をするのもめんどくさくなったのか、湊はちらりと燿を一瞥するとそのまま無言で歩くスピードを早める。


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