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そんなことより、と彼女は言う。

「足立さんは何をお読みになるんですか?」
「あぁ、僕は大抵話題作かな。今読んでいるのはショーペンハウアーだけど。」
「ショーペンハウアーですか。思ったよりも、教養的ですね。」

本当に一言多いやつだ。

僕は彼女のセリフを華麗にスルーして、先に続ける。
「まぁそんなところだ。」
そして、もっと彼女のことが知りたい、という思いから、とある提案をしてみることにした。

「…そうだ。今度お薦めの本を教えてくれないか?」

これなら自然だし、彼女ものってくるだろう、そう考えての提案だったのだが。

「嫌です。言ったでしょう?私は貴方が嫌いなんですよ。」

なんともあっさりと拒否されてしまった。
どうやら僕は本当に嫌われているらしい。
それに、と彼女は付け加える。

「下心が透けて見えてますよ。」

……何故また解った。




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