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何故、その時彼女のことを知りたいと思ったのかはわからない。
彼女も同じことを思ったのだろう、不思議そうな目で僕を見ていた。

「唐突ですね。いきなりどうしたんですか?もしかして、私のこと気になるんですか?」
「……一言余計だ!まぁ気になると言えば気になるわけだが。」

いきなり嫌いとか言われた訳だし、と僕は付け加える。
そうですねぇ、と彼女は言いながら思案しているようだ。

「シェイクスピアを少々。あとは…最近流行りの作家の作品ならだいたいは。」
「シェイクスピアか……ハムレットくらいしか知らないな。」
「そうなんですか。ということは、足立さん、読んだことすらないでしょう。」

何故解ったのだろう。
確かに僕はシェイクスピアの作品を読んだことがない。
ただ、肯定するのが癪だったから見栄を張ってみる。

「そんなことない。ただ、あまり内容を覚えてないだけだ!」
「別に見栄を張らなくてもいいんですよ?」
「…おま、笠原……なんで僕の考えてること解るんだ?」
「顔に書いてありますよ?」
「嘘つけ!」
「うふふ、足立さん可愛いですね。」
「可愛いとかはじめて言われた……」

若干ショックである。




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