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彼女に言われた通りに、連れ添って歩くこと15分。
「笠原の家、僕の家と近いな。」
「そうなんですか。あ、そこの角を右に曲がってください。」
本当に僕の家と近い。
僕の家は角を曲がってすぐだ。
……というか、こんなに近くに住んでて、何故今まで彼女の存在に気付かなかったのだろう。
普段僕は自分に関係ないことには全くの無関心だからか?
でも、やっぱり他に何かある気がする。
じゃあなんでだ?
「あの…足立さん。」
急に彼女に話しかけられた。
「どうした?」
「いや…あの、なんで立ち止まっちゃったんですか?」
え?
よく周りを見てみると、先を行く笠原とは若干距離が出来ていた。
彼女のことを考えていたら、無意識のうちに立ち止まっていたらしい。
「ごめん!ちょっと考え事してた。」
「考え事ってなんですか。」
「えっ…」
困った。
これで彼女のことを考えていた、なんて言ったら引かれる気がする。
僕が返答に困っていると、
「まぁなんでもいいです。行きましょう。」
「あ、あぁ……」
せっかく聞こうと思ったら、タイミングを逃してしまった。
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