no title
「反抗期にしちゃ、ちと早すぎる気もするが…喧嘩したのかどうかは知らないがさすがに子供が一晩中帰って来なかったら心配するだろ?」
「じゃあ、子供を心配する様な親は自分の子供を大雨の中捨てるの?」
少年の予想外の言葉に男は目を瞬いた。
「おいおいそりゃただ仕置きとして外に出しただけだろ?」
「…あんた、おめでたい人だね」
そう言って男を哀れむように見た少年の目は、とても冷たかった。
左目には、眼帯がされたままだ。
「んな…!?」
「別に喧嘩したわけじゃない。
ただこれ以上育てたく無くなったから捨てた、それだけだよ」
男はまじまじと少年の顔を見るが、嘘をついてるようには見えなかった。
それに、よく見れば彼の服の袖から覗く手足には無数の痣があったし、彼の身体は細すぎるような気もした。
(児童虐待、って奴か…)
そう考えれば、少年の纏う人を寄せ付けない雰囲気や、斜に構えた物の見方も納得出来る。
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