no title





何処で何が狂ったのかなんて、彼には分からなかった。
何が起きているのかも、誰が悪いのかも、彼には分からなかった。

(一体ぼくは誰を憎めば良い?
……あぁ、そうか、“俺”が憎むべきなのは人間そのものなのか)

ふと頭に過った考えは、驚くほどすとんと彼の胸に落ちた。
堪えきれなくなって、彼は嗤った。

(誰を憎めば良いのか分からないならば、答えは簡単だ。
全て憎んでしまえば良い)

最大限の蔑みと、憎しみと、絶望を込めて、彼は嗤った。

彼の周りに横たわる四つの死体の中心に立って、床に広がる血と同じ色をした左目を光らせて、彼は嗤い続けたーー









[ 26/42 ]

[*prev][目次][next#]

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -