no title
人は皆、生まれながらに光と闇を持っていると誰かが言った。
光か闇か、どちらを選ぶかは本人次第である、と。
ある復讐屋はこう言った。
「人の本質が善であるか悪であるかなんて興味無い。
どちらの性質を持っていると言っても正しいのだろうし、どちらかしか持ってないと言っても正しいんだろうねぇ。
要は程度の問題だよ。綺麗に半分ずつ持っている奴もいれば、どちらか一方に偏りがちな奴もいるだろう。議論するだけ無意味だ。
特に俺の前では、ね。
……え?あぁ、確かに俺の名前の終夜は、夜明けという意味だけれどそれもまた一つの解釈に過ぎない。
言葉というのは曖昧なものでね。
“終わる夜”のか“終わらない夜”なのか、どう解釈するのかは本人次第さ。
まぁ、俺は誰かどう解釈しようが全く興味が無いし、どうでも良い。
何故?決まってるじゃないか。
俺は……」
「人間が、大嫌いなんだ」
ーーこれは、彼がまだ「人間」であった頃の話。
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