no title

初めて賢斗と豪雨の中出会ってから二年が経過していた。
賢斗も背が伸び、相変わらず痩身であるものの、順調に成長していた。
顔つきも少しばかり幼さが取れたように思えるのは、彼独特の雰囲気のせいなのかもしれないが。

この二年間で、散々静貴に仕込まれた賢斗はある程度の家事は全て一人で出来るようになっていた。

更に、暴露てしまったものはしょうがないと腹を括った静貴は賢斗に強請られるまま、裏社会の知識を教えたのだった。
自分自身、いつ殺されてもおかしくない身である。
ならば、彼が一人でも生きていけるように、という思いも手伝ったのかもしれない。

そういう環境もまた、彼が周りより大人びて見える一因だろう。

普通の子供達が中学受験に勤しむ中、賢斗は飽きもせずに静貴の書斎に引きこもっていた。
彼曰く小中学生用の問題など、向き合うのも馬鹿馬鹿しい、と言う事だ。

そんな賢斗を静貴は何処か複雑な思いで見ていた。
彼は確かに賢い。天才と呼ばれても遜色ないだろう。
しかし、彼は全くと言って良いほど人と関わっていない。
彼を取り巻く人間は、静貴と瀬奈(と琲音)くらいしかいなかった。

彼が人付き合いが嫌いなのは知っているが、このままでは良くないと思うのも確かで。

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