no title

久しぶりの外に目を細める賢斗を連れて静貴が向かったのは一つのマンションだった。
インターフォンを鳴らすと、バタバタと足音がしてドアが開く。

「いらっしゃい、静貴」

そう言って顔を覗かせたのは一人の女性だった。

「おう、邪魔するぜ」

「あら?その子は…?」

彼女は静貴の後ろで無表情で立つ賢斗を見つけると怪訝そうな顔をした。

「あぁ、こいつは賢斗って言うんだ。終わる夜に賢いに、北斗の斗で、終夜賢斗。
まぁ色々あってな、俺が育てる事にしたんだ」

「貴方お人好しだものねぇ…
いらっしゃい、賢斗君。
私は石動 瀬奈(いするぎ せな)。
静貴とは昔からの知り合いなの」

「……どうも」

素っ気ない賢斗の返事に静貴は苦笑するが、瀬奈は気にした様子も無く二人を招き入れる。

所謂高級マンションと呼ばれるそこのリビングは十分すぎる位広かった。
その広いリビングに、茶色の髪をした一人の少女が積み木で遊んでいた。

賢斗よりも幼いであろうその少女は、入ってきた二人を不思議そうに見た。

「ひょっとして、琲音ちゃん!?大きくなったなぁ!今いくつだ?」

「四歳よ。貴方が最後に琲音に会ったのは二歳の時だったかしら?」

和やかに会話する大人二人を他所に、琲音はじっと賢斗を見つめる。
対する賢斗は観察するような目で琲音を眺めていた。

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