no title

「どうせ、ぼくには血生臭い話をしたくない、とかそんなくだらない事考えてるんでしょ?」

図星だったので、反論出来なかった。

「ぼくに散々話させといて自分は黙秘ってずるいじゃないか」

「あー分かった分かった!
話すってちゃんと。だからそんな拗ねるなよ」

「…別に拗ねてないけど」

そういうも少年の表情は何処となくむくれている。
静貴は素直じゃねぇなぁ、と思いながら何から話したものか、と暫し思案する。

「俺の仕事は…んー…なんつーか…」

「人には言えないような仕事?」

「まぁそうだな。
…闇医者、って分かるか?」

「医師免許を持たずに医療行為をする人、だっけ?」

間髪入れずに返ってきた答えにさすがだな、と苦笑する。

「まぁ、そうだな。
俺はその闇医者なんだ。医師免許を持ってないし、俺の患者は殆ど裏の奴らだ。余り褒められた仕事じゃない上に危険もある。
だから…」

「だからぼくに言わなかった、ってこと?馬鹿だね、ぼくはそんなの気にしないのに」

ふふ、と柔らかく笑った少年に静貴は珍しいものを見た、と目を瞬かせる。
綺麗な顔してるんだからいつもそういう風に笑ってたら良いのに、とも思いながら。

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