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誰なのか気になった真希は、その人物にそっと近づいた。
顔を覗き込んで見たが、本を上に乗せて寝ている為、肝心の顔が見えなかった。

(こんな所で寝てるって事は、上級生かな?)

そう判断した真希がその人物から
離れようとしたその時。
ヒュッと小さく風を切る音がして、真希の首にひやりとした何かが押しつけられる。

驚いて固まった真希の前で、彼は顔に乗せていた本をゆっくりと退けた。

「人の寝込みを襲うなんて感心しないなぁ、一年A組出席番号三番朝日屋真希君?」

そう言った彼の顔を見て、真希は目を見開いた。
彼は、真希がずっと気になっていた終夜賢斗、その人だったから。

「あゴメンね、そんなつもりじゃなかったんだ!」

「へぇ、まぁどうでも良いけど。
どうせ寝てなかったしね」

相変わらず真希の首に何かを当てたまま彼は本当にどうでも良さそうに言った。

「あの、終夜君?」

「なんだい?」

「これ、退かしてくれるかな?」

首を指さしながら言うと、賢斗はあぁ、と小さく呟いて“何か”を退かし、身体を起こした。
キラリと日の光を反射したそれは、折り畳み式のナイフだった。


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