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入学式から一週間が経ち、真希にも何人か友人が出来たが、彼は謎のままだった。
というのも、彼は休み時間の度にふらりと何処かへ消えてしまうからだ。

幸い、名前については出席を取る時に判明した。

ーよすがら けんとー

それが、彼の名前だった。
珍しい名前だ、と真希は思った。
彼はいつも一人で窓の外を眺めていた。

少し長めの黒髪に、黒い瞳。
更に黒い学ランを着て漆黒に包まれている中で日の光を知らないのでは、と思う程に白い肌が浮いていた。

そんなある日。
たまたま昼食を一人で取る事になった真希は、なんとなく屋上に行こうと思った。

天気が良い日だったし、たまには一人静かに過ごすのも悪くないと思った真希は誰も居なさそうな屋上を選んだのだ。

階段を登り、扉を開く。
抜けるような青空が広がっていた。

風の心地良さに目を細めた真希だが、先客が一人寝そべっているのを見つけた。
学ランを着ているから男子であることは間違いない。


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