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「そういえば、なんで体育倉庫なんかに居たのさ?」
「呼び出されたからに決まってるじゃないか。
放課後、体育倉庫に来てくださいってね。どうやら俺が背を押した子が、学校を辞めたみたいでね。その子に好意を持っていた奴が逆恨みしたのさ。
あぁ愚かしい。だから俺は人間が嫌いなんだ」
やれやれ、と肩を竦めながら賢斗は語る。
逆恨みでもなんでも無い気がしたが、それを気にする真希ではなかった。
「それで返り討ちにした、と」
「正当防衛さ。
本当は消しても良かったんだけど、さすがに死体の処理は面倒だからね」
「でも、明日から面倒な事になるかもよ?」
「そうかな?俺はそう思わない。きっと、数日後には彼ら、転校してるだろうから」
恐ろしい事をさらりというが、真希の態度は変わらなかった。
今の賢斗の言葉は、本気だという事は理解していたけれど、それはそれで仕方ないと思った。
それで賢斗が笑ってくれるなら、構わない。
暫くそのまま歩いていた賢斗だが、不意に足を止めて真希を見た。
赤い瞳が、真希を射抜く。
「ところで、サイコパスって知ってるかい?」
「サイコパス?」
「そう、サイコパス。
知り合いに言わせると、俺は正にそのサイコパスらしい」
サイコパス、というのがよく分からなかった真希は再び歩き始めた賢斗の横に並びながら問いかけた。
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