6
「待ってよ賢斗!」
「今度はなんだい?」
慌てて賢斗の後を追う真希は、彼の隣に並んで改めてその横顔を眺めた。
少し長めの黒髪。整った中性的な顔立ち。
真希の知る賢斗と何も変わらなかった。ただ、その左目を除いて。
「その目、本物?」
血の様に赤い瞳を見つめ、真希は問う。
賢斗は前を向いたまま答えた。
「本物だよ、生まれつきさ。
ただ赤いだけで何か特別な目ってわけでも無いけどね」
「でもいつもは黒いじゃないか」
「君はコンタクトというものを知らないのかい?
あれで黒くしてるだけだよ、変に騒がれても面倒だからね」
真希の質問に、とてもめんどくさそうに答える賢斗。
その顔に、もう笑顔は無い。
「あぁ、なるほど。
じゃあ何で今隠してないの?」
「この目は、ただ見せるだけで立派な凶器になる。便利だろう?
現に彼らも立派に怯えてくれた」
「どうして怯えるのさ?そんな綺麗な色してるのに」
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