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…懐かしいなぁ。
僕は最初、賢斗は静かな優等生なんだと思ってたよ。
羨ましい位頭良かったし。いや、今も頭の回転早いんだけどさ。
ところがいざ話してみれば思いの外饒舌で、彼は独自の哲学を持っていた。

それにしてもいきなりナイフを向けるなんて酷いと思わない?
そもそもナイフを持っている事に驚いたけど。

僕と屋上で会ってからも、賢斗は相変わらず窓の外を眺めているだけの日々を過ごしてた。ただ、もう屋上には来なくなったけどね。
誰とも話さないのは、誰とも話したく無いからだったわけだ。

それなのに、彼は存外女子に人気があった。
確かに整った顔立ちをしてるし、あの独特の雰囲気に惹かれる子が多かったみたい。
何回か賢斗が告白されてるのを見た事あるけど、結果は言わなくても分かるよね?

え、知りたい?
僕もあんまりじろじろ見ていたわけじゃないから詳しくはよく知らないけど、確か僕には絶対見せてくれないような綺麗な笑顔で、「俺は人間が大嫌いだ、だから君も嫌いだよ。分かったらもう話しかけないでくれるかな?正直気持ち悪い」みたいな事を言ってたっけ。
酷いよねぇ。僕は賢斗のそういうところ、嫌いじゃないんだけどさ。
そういえば賢斗に告白した子って翌日から学校来なくなったっけ。
中には辞める子もいたらしいけど、何があったんだろうね…?

話を戻すと、あれから僕は賢斗に興味を持った。
終夜賢斗という人物がどういう人なのか、知りたくなったんだ。
しつこいくらい賢斗に付きまとったよ。まぁ今でもあんまり変わってないけど。




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