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夜。
私はベッドの上で携帯と格闘していた。
文子に放課後のことを聞くためだ。
「しっかし…はぁ……」
思わずため息をはいてしまった。
私はかれこれ1時間ほど文章を書いては消し、というのを繰り返しているのだ。
(親友にメール一件打つのってこんなに難しかったかなぁ…?)
知りたい。
真緒の言っていたことの真意が知りたい。
本当なら真緒に聞くのが早いのだろうけど…
(真緒は多分本人に聞けって言うだろうしなぁ…)
(……それに、聞くなら真緒を介してじゃなくて直接文子から聞きたい。)
でもなんと書けばよいのだろう。
言葉が見つからない。
「…あぁぁぁあ……っ!」
私は自分の語彙力の無さを恨みながらベッドの上に突っ伏した。
結局この日はメールも書けずに寝てしまった。
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