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「………か?優香?」
「ふぇっ!文子、どうした?」
「いや、優香ぼーっとしてるから…」
「あ、ごめんごめん。ちょっと考え事してたの。」
「そかぁ。……ってそんなことより唐揚げ、スカートの上に落ちてるよ?あ、その卵焼き食べたい!1つちょうだい。」
「あちゃ…やらかしたぁ……ん?卵焼き?いいよ。はい、あーんっ。」
「あーん。……うん、今日もおいしいっ!優香の作る卵焼きはやっぱおいしいなぁ。毎日食べたいくらいだぁ。」
「そう?ありがと。今度文子の分もお弁当作ってこようか?」
「えっ!?いいの?」
私はふと周りの視線が気になった。
周囲のざわめきが聞こえる。
「見た…?優香、今文子にあーんってしたよ……」
「あんなこと出来るなんてすごいなぁ…」
(どういうことだろ…?)
文子がはっと表情を強張らせて言う。
「優香。あーんだめ、ここ教室だから自重しないと!」
すっかり忘れていた。
ここは教室だった…
普段二人が弁当を食べている人気の少ない中庭ではないのだ。
「はっ…忘れてたぁ……」
そんなことをしているうちに、昼休みはあっという間に終わってしまった。
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