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ある初夏の日の昼休み。
まだ5月だというのに、ここ数日暑い日が続いている。


「優香ぁ、今日も暑いよ〜」

「だねぇ。外はもっと暑いだろうし、今日は教室で食べよっか。」


私、綿谷 優香(わたや ゆうか)はいつものように親友の如月 文子(きさらぎ あやこ)と昼ご飯を食べていた。


ここは明治時代から続く、伝統ある私立の女子校。
校則がほとんど無く、自由な校風で有名である。
幼稚園から大学までエスカレーター式に繋がっていて、途中からの入学者もいるが、やはり幼稚園からずっといるという者が多い。
世間ではお嬢様校として通っているらしい……
が、実はそうでもない。
普通に学校帰りにゲーセンにもカラオケにも行く。


私も文子も高入生だ。
初めて喋ったのは入学式のあの日。
思い返すと、お互い知り合いもいないので緊張していたっけな……。


私は目を閉じ、回想に耽った。



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