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「では、まずアルフレッドから話してくれ。
あの襲撃の後、何があった?」

レジスタンス全員の視線を受け、決まり悪そうにしながらもアルは今までの事を要約しながら話した。

肩に傷を受け、気絶している間にドラゴンスレイヤーの本部へ連れていかれた事。

そこでイオに会った事。
イオに再びレジスタンスを襲うと言われた事。

どうにかして脱出しようとしていた所にリオウが現れた事。
リオウの契約者が自分だった事。

そしてリオウと契約し、急いでここまで戻ってきた事。

それら全てを話し終えるとアルは大きく息を吐いた。
アジトの中は静まり返っている。

「じゃあアル、君は本当に祖竜の契約者なの...?」

重い沈黙を破ったのはカイで、戸惑ったようにアルと何時の間にかコンパクトサイズになっているリオウを見た。

「…あぁ、みたいだな」

アル自身、少し困ったように笑った。
そんなアルの両手をガシッとアイリスが掴む。
スキンシップがあまり得意では無いアルの眉が一瞬ピクッと動いた。

「よく…無事で戻ってきてくれた…!」

アルの両手を固く握りしめ、アイリスは声を絞り出した。
心からアルを心配していたのだと分かる声だった。

「この間はすまなかった、君の事情をよく知りもせず自分の考えを押しつけて...」

アイリスの言葉に、余計な事を言っただろ、と言いたげなアルの視線がカイに突き刺さった。
その視線から逃げるようにカイはアルから目を反らす。

呆れたようにため息を吐いたアルはアイリスの手から逃れ、彼女の目を真っ直ぐに見ながら言った。

「いや...俺の方も悪かった、な。
自分の都合を押しつけたのは俺も同じだから...」

最後はアッシュの時と同じように目を反らしながら言いにくそうに謝罪した。
謝罪する事は勿論、相手から素直に謝罪される事に慣れていない彼は珍しく戸惑っているように見えた。

そんなアルを見て頬を緩めたアイリスだが、ふと気になる事を思い出し、アルに問いかけた。

「あの銀髪のドラゴンスレイヤー…ジャックと言ったか、彼が言っていた約束というのは本当か?」

「…さぁな」

アルは途端にいつもの不機嫌そうな顔に戻ってぶっきらぼうにそう言った。

「アル、答えて」

珍しくカイが強い口調でアルに問い詰めた。
ジャックはアルが犠牲になる代わりにレジスタンスには手を出さない、という約束をしたと言っていた。
それが本当ならアルが連れ去られたのは自分達のせいということになる。

「お前まさか自分のせいだとか思ってんじゃねぇだろうな?」

カイの思考を読んだかのようなアルの発言にカイはうっ、と言葉に詰まった。
それを見たアルはやれやれ、とため息を吐いた。

「別にお前らのせいじゃない。
俺が勝手に捕まった、それだけだ」

ぐしゃぐしゃと髪をかき回し答えるアルに今度はアイリスが食い下がる。

「アルフレッド、大切な事なんだ」

「別にいいだろ、なんだって」

「素直じゃない奴だな、我が契約者は」

一向に進展を見せないやりとりに割り込んだのはリオウだった。

「素直に言えばよかろう?
何をそんなに意地になっているのだ?」

「だから何でもねぇっつの。
いいだろ、別に。ちゃんと帰ってきたんだし」

「過度な否定は肯定と同義だぞ、アル」

「あーもういい、好きに解釈しろ」

最終的にはアルが折れる形で決着がついた。

「じゃあやっぱり…」

「約束はしたが、それが無くてもあいつらは俺を攫ってただろうな。
だからお前が自分を責めるのはお門違いだ。
どうやら俺は本格的にイオに狙われてるらしい」

アルの発言に再び空気が変わる。
それを敏感に察したアルはくっ、と口角を上げて嗤った。

「そうだよな、こんなトラブルメーカーに居られても迷惑だよなぁ?
いいぜ、出て行って欲しかったら俺はいつでも出て行く」

「馬鹿言うな

自虐にもとれる発言をしたアルを一喝したのはそれまで黙っていたユアンだった。

「迷惑な訳ないだろう!
お前は自分を犠牲にして俺達を助けてくれた、そんなボロボロになりながら俺達を守ってくれた!
そんなお前がトラブルメーカーなわけあるか!
出ていかなくていい、いや、ここに居てくれ。そうだろ、皆

ユアンの呼びかけにレジスタンスのメンバーは皆一様に頷いた。
先程はアルを助けに行く必要にど無いと言っていた者も、今は頷いていた。

驚いて僅かに目を見開いたアルの肩に、アッシュが腕を回す。

「皆こう言ってる事だしさ、今度こそ一緒に戦おうよ?」

アルは無表情でアッシュの腕を掴むと、そのまま無言で投げ飛ばした。

「いってぇ!
何すんのさー!」

綺麗に地面に叩きつけられたアッシュは半分涙目になりながらアルを睨む。

「馴れ馴れしくすんな、気持ち悪い」

「酷っ!」

「でもまぁそうだな。
戦ってやるよ、お前らと」

素直じゃないアルなりの決意を聞いて、それまであったギスギスとした人間関係の歪みは解消されたのだったーー


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