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(ここ...は...?)

青い光に包まれた水の中、ソウはゆっくりと目を開けた。
何処かは分からない、しかし懐かしい。

(俺は、ここに来た事がある...?)

ぼんやりと頭に何かが浮かぶが、それは形を捉える前に姿を消した。
やがて水底に足が着くと、ソウは辺りを見回した。

青い、青い水の中。
何処か懐かしい場所。

「...待ってたぜ」

不意に後ろから声がかかり、ソウは驚いて振り返った。
さっきまで誰もいなかった場所に、1人の人物が立っていた。
声から察するに、男のようだ。
顔は逆光でよく見えないが、その口元には微笑が浮かんでいるのをソウは見た。

「お前は...?」

分からない、分からないけど懐かしい。
この人物を、俺はよく知っている。

彼はソウを見ると、ため息を一つ吐いた。

「やれやれ、本当に全部忘れてるんだな?
あいつらが知ったら泣くぞ?」

「あいつら...?
教えてくれ、お前は、俺は...誰なんだ?」

知りたかった。
自分という存在が何なのか。
何故ここにいるのか。

しかし彼は首を横に振ると、こう言った。

「知らなくて良い。思い出さなくて良い。思い出せなくて良い。
...思い出さない方が良い」

「え...?」

「知っても、辛くなるだけだ。
思い出して苦しむのはお前だぞ、ソウ」


急に自分の名前を呼ばれ、ソウは戸惑った。

「なんで俺の名前...」

「...俺は君を知ってるよ、誰よりもね。そして、君も俺を知っている。
今は忘れているけれど、いつか必ず思い出すんだろう。それが、強い痛みの塊であったとしても。お前は、そういう奴だ。だけどまだその時じゃない。
だから...」

そっと彼の手が伸び、ソウの視界を覆う。

「だからごめんな、今はちょっと眠っててくれ」

彼がそう言うのと同時に、ソウの意識は闇に包まれた。
ガクンと崩れ落ちるソウの身体を抱きとめ、そっと彼は囁く。

「大丈夫だ、“二度も”お前を死なせたりしねぇから...湊」

光が揺らぐ水面を見上げ、彼はニヤッと笑う。

「さて、久しぶりに行きますか」

水底に静かに佇む彼は一体ーー?



眠れないだろうと思っていたカイとアッシュだったが、いざ横になってみると想像以上に疲弊していたようで限界だった身体はすぐに眠りについた。

どの位眠っていただろうか、不意にカイは背筋にぞわりとした感覚を覚えて目を開けた。
見れば、隣のアッシュも起きて険しい顔をしている。

「...アッシュ」

「間違いない、あいつらだ」

この感覚は、この間のドラゴンスレイヤーのもの...

カイとアッシュは顔を見合わせて頷くと、休んでいた人々を叩き起こした。

「カイ、アッシュどうしたんだ?」

まだ眠そうに目を擦っている人の姿が多く、アイリスが聞くとそうだそうだと周りが賛同した。

「奴らが近くまで来てる」

アッシュが落ち着いた声音で言うと、一斉に辺りは静まった。

「奴らというのはまさか...」

「あのドラゴンスレイヤー達です」

カイの返答にアイリスの顔が強張る。

「奴ら、今度こそここを潰すつもりだな...!」

ユアンが悔しそうに歯噛みする。
前回の襲撃の傷もまだ癒えていない今、結果は目に見えていた。

皆、黙り込むアイリスを見つめた。
アイリスは何かを考えていたがやがて意を決したように顔を上げ、きっぱりと頷いた。

「行こう、皆。
最後まで我々は戦おうじゃないか!」

アイリスが拳を高く挙げると、おぉ!と一同も同意の声を上げ、拳を掲げ、皆、各々の武器を手に外へと向かった。




「おやおや、お出迎えですか。
随分歓迎されてるようですね」

アジト前に並ぶレジスタンスを見て、ジャックは微笑を浮かべた。

「雑魚が何人集まろうが関係無いわ!
それに全員ボロボロじゃない、潰し甲斐が無いわね」

ジャックの隣に並んだスミレは馬鹿にするように鼻を鳴らした。
今回ははっきりとレジスタンスを潰せと命令を受けている。
手加減する必要は無いだろう。

「アルを...どうしたんですか...」

カイがまず口火を切った。
その言葉にスミレはくすりと笑った。

「あら、そんなにあの銀髪の坊やが大事?
大丈夫よ、まだ生きてるわ今の所は」

「どういう意味だ!」

カイに続いて今度はアイリスが怒鳴る。
彼女もアルの身を酷く心配している1人だ。

「そのまんまの意味ですよ。
まずは彼の精神から痛ぶろうというのがイオ様のお考えですので貴方達を殺すようにとのご命令です」

ジャックが悠然と答えると、双方に緊迫した空気が流れる。
ジャックがナイフを構え、投げつけようとしたその時。












「待て







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