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やっぱりな、とアッシュは頭をぽりぽりと掻いた。まぁ、そこまで無理強いする理由もない……。

そう思っていた矢先にカイが口を開く。

「…アル……」

「……あ?」

「アルの気持ちはわかるよ……昔からずっと見てきたからね」

俯きながらカイは続ける。

「……でもさ。竜人族もそんな悪い人ばかりじゃないというか……何ていうか」

アルはため息をつく。やはりこいつのこの目には逆らえないのだった。

「アルだってひどいって思うだろ?ドラゴンスレイヤーの独裁に関しては。だから別に…」

「あーわかったわかった」

「…アル?」

アルは諦めかけた表情のアッシュに目をやる。

「…おい、アッシュさんよ。朗報だ、俺もカイもウェンディもついてってやる」

「………いいのかい?」

「いいって言ってんだろうが。それとも何か?やっぱ嫌って言ったら諦めてくれんのか?」

アッシュはニッと笑って首を振る。

「……いいや?ありがと!感謝するよ」

力強く右手を差し出してアッシュは言う。

「よろしく、アル」

「………アルフレッド、だ」

アルは差しだされた右手を握らずに仏頂面で返すのであった。


アルの態度を見ると、アッシュはガクッとコケた。
行き場の無くなった右手をそそくさと水の入ったグラスへと持っていく。

「握手……」

そういいながら水を一気に煽る。

「ダメだよ、アル。
そんな冷たい態度しちゃ」

「自信満々に手を差し出した分スルーされた時のショックは大きいんだよー?」

と、その様子を見たカイとウェンディ。

「すまないな。
残念ながら昔からこういったスキンシップは苦手なんだ」

肩をすくめ大して悪びれた様子も無くアルはそういうと、視線を自分の手元にあるグラスに向けた。

「……いやぁ、でも、君たちからレジスタンス入りをもし断られたらどーしようかと思ってたよー。
実は俺、他の竜人族を仲間にしてこいってレジスタンスの人たちに言われてて、知り合いの情報屋にまだ生き残ってる竜人族がいるっていう情報を聞いてさ、君たちがいたであろう街に行って、君たちの情報を集めてたんだよ。
んで、君たちの旅路を辿ってってはるばるレジスタンスのアジトがある山奥の地からやっと君たちに追いついたわけ」

水を飲んで気分が変わったのか、アッシュは右手でひらひらと顔を扇ぎながら、先刻のような間延びした話し方で饒舌に話し、そしてだらしなく椅子の背もたれに思いっきり寄り掛かり始めた。


リラックスしすぎだろ……

アルはグラスから視線を外し、アッシュを一瞥する。


「正直言うと、俺の所属しているレジスタンスは、今、結構な戦力不足でさぁー。
なっかなか政府に対する行動に移せなかったんだよねぇ」


アッシュが話し終わると、喫茶店のウェイトレスがやってきた。


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