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「・・・ふぅん」
アッシュは静かに相槌を打つ。
少しの好奇心と少しの同情を込めて。
幼い頃からからかわれ続けたのだろう、人を寄せつけないこの態度。
自嘲的なこの笑み。
持ち竜のいない竜人族。
透明な鱗を持つこの少年。
「出来損ない……ねぇ」
しばらく真顔で考え込んでいたアッシュはいつもの笑みを取り戻し唐突に口を開く。
「君達さ、レジスタンスに興味はないのかい?」
「………は?」
この深刻な戦力不足だ。出来損ないだろうが何だろうが関係ない。
とにかく人が欲しかった。
それに他の竜人族とは異質な彼である。
きっと只ならぬポテンシャルを秘めているに違いない。
そんな都合のよい妄想を膨らませ、もう一度。
「だからさ、レジスタンスに興味ないのかい?」
「……藪から棒に何を言い出すかと思ったら」
「あ、あの」
「…おい」
案の定口を挟んできたカイをアルはやっかいなものを見るように舌打ちをする。
カイは若干怯みつつ、誰もが予想していた台詞をおそるおそる口に。
「……詳しく話を聞かせてくれませんか」
「………というわけで…さ」
真剣な顔で話を聞くカイとウェンディ。
苦虫を噛み潰したような顔をしているアル。
彼らの顔を見比べたアッシュは勝ち誇った顔で、声高々にお目当ての台詞を口にする。
「憎きドラゴンスレイヤー共の独裁を阻止するべく!レジスタンスのメンバーとして我々と共に戦ってくれないだろうかっ!」
「はい!一緒に頑張りましょう!」
「おっけー!」
「ふざけんな」
「………………」
一瞬の沈黙が場を支配した。
「……おい」
「だってこのままじゃレジスタンスはドラゴンスレイヤーに太刀打ちできないわけで………!」
「このお人好しが…。俺達にそんな義理ねーだろうが」
「義理ならあるさ!アッシュは僕達を助けてくれて」
はぁ、とため息をつきアルはカイを睨みつける。
「だからってこんなめんどくせぇこと引き受けるか?相場に合わないだろ、常識的に考えて。そもそもお前の撒いた種だ、俺は断固反対だがな」
「相場とか……そんなのいいじゃないか。僕はやれることをやるだけだよ」
「はっ!やってろよ勝手に。俺はやらねー」
「……はは、君ならそういう反応をするだろうと思ったよ。しかしなぜそんなに頑固に断るんだ」
苦笑するアッシュを睨みつけアルはぼそりとつぶやく。
「………俺の敵はドラゴンスレイヤーじゃねぇ」
「ほう」
「お前ら竜人族を敵と言うつもりはないがな。ただお前らの味方になるつもりも更々ないんだな」
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